思い描くワンシーンを模型で創造 鹿児島が誇るトップモデラー
Text by.Makoto Tanaka(GUYZ編集部)
「プラモデルの楽しさは、手のひらの上で楽しめること。絵と違って四方から眺めることができるのはいいですね。見る人もいろんなストーリーを想像できます」と語るのは、霧島市で「マルタカヤ模型」を営む岩重賢司さん。プラモデルと聞くと子供たちの趣味の域と思われがちだが、岩重さんが作るミニチュアフィギュアやジオラマは精巧だ。
表情や質感、ディテールはもちろん、テーマや背景、ストーリーにまでこだわり、その作品は国内外のプロモデラーから一目置かれている。最新作「1/35『Kamerad !』」=フェイスブック参照=は、北アフリカを舞台にしたミリタリーのジオラマだが、戦闘の合間の兵士たちの休息を、ほのぼのとした雰囲気で作り上げている。岩重さん会心の作品だ。
- 「マルケン塗り」で仕上げられた兵士のフィギュア。皮膚の日焼けや服のシワなどがリアルに表現されている
初めて模型に触れたのは小学生の頃。母親にゼンマイ仕掛けのタイガー戦車を買ってもらったのがきっかけ。以来、船や飛行機、戦車などあらゆる模型を作りまくった。
今では、その作品や制作技術が専門誌などでも取り上げられ、特に、岩重さんが生み出した塗装技術「マルケン塗り」は、服のシワや筋肉の凹凸の陰影などをより自然に表現できる方法として、プラモデル業界で知らない人はいないほどだ。これまでに作った作品の数は80点にのぼる。どれもお気に入りだが、模型の全国コンテスト「JMC大賞」を受賞した、スバル360のジオラマ「たーまやー」は思い出深いそう。
- 隼人町日当山の用水路をベースにした作品「たーまやー」。実際に花火の音が聞こえてきそうなほど情感がある
ほかにも、老夫婦の結婚記念日を表現した作品や、犬や馬など動物が登場する物語のような作品など、
身近な題材を取り上げているのも岩重さんのジオラマの特徴だ。「最近はルノーのジオラマを作りました。車やバイクといった乗り物を題材にすると、多くの方に興味を持っていただけるんです」
趣味ではない本業でもジオラマを制作することがある。主に模型雑誌の作例依頼だ。「雑誌の仕事は締め切りがあって大変です。毎朝3時起きが1週間ほど続きます」とぼやきが出つつも「仕事でも趣味でも模型を作らせてもらって、幸せですよ。もう十分」と岩重さんはほほ笑む。
模型作り
ガンプラみたいに、接着剤不要、塗装済みの模型が初心者の方にはおすすめです。とりあえずニッパーがあれば大丈夫。そこから自分が作りたい模型に必要な工具や材料をそろえていけばいいと思います。高いものを使う必要はまったくありません。100円ショップで手に入る材料も少なくないですよ。
岩重 賢司さん(56歳)
加治木工業高等学校建築科卒業後、家業である「マルタカヤ玩具店」の手伝いを経て模型製造・販売の株式会社タミヤに入社。企画部で5年間、模型の設計に携わる。帰鹿後は模型販売に特化した「マルタカヤ模型」を営む。
マルタカヤ模型
住所:霧島市国分中央3-12-40
電話:0995-45-1296
営業時間:10:00〜19:30
休み:火曜
P:3台
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