一枚のポストカードが紡ぐストーリー vol.8 

チェット・ベイカー、 ブルーに生まれついて

Text by.Takashi Okada(Postmark)

上の写真は、1950年代半ばにおいて時代の寵児とも目され、マイルス・デイヴィスをも凌ぐ人気を誇っていたトランペッター、ジャズ界のジェームス・ディーンと言われたチェット・ベイカー、24歳の肖像。チェット・ベイカーのライブがある夜は、彼を一目見ようと女子が会場に殺到するため「街から若い娘が消える」とまで言われた。あ〜男として、そんな風に生まれてみたかった…。トランペットに加え甘いマスク&甘い歌声で絶大な人気を誇ったチェットだけど、人生には大いなる落とし穴が待っていた。チェットは50年代後半からヘロインに溺れ、ドラッグ絡みのトラブルを頻繁に起こす。米国や公演先の複数の国で逮捕され服役もしている。70年にはドラッグが原因で前歯を折られ、演奏活動を休止するはめに。この間には生活保護も受けている。73年頃より復活、ちょうど厄年過ぎた頃から踏ん張って人生立て直したという感じかな。

下のポートレートは、78年に彼の自伝映画を撮った写真家ブルース・ウェーバーによるもの。その姿は、文字通り人生の酸いも甘いもかみ分けたような、なんとも飄々としたもの。 58歳のチェット、亡くなる前年の肖像だ。

ジャズ好きのオイラも、時々聞きたくなるのが彼のサウンド。トランペットのテクニックがめちゃくちゃ秀でているわけではない。歌にしても、ずば抜けた歌唱力があるわけでもない。なのに、なぜか聞きたくなるのは、彼の人生を描いた映画の原題「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」のとおり、持って生まれたジャジーな雰囲気とでも言えばいいのか。酒やドラッグ、そして女に溺れた人生だったけど、そんな生々しいブルーではなく、なにか枯れたススキが風になびいているようなワビサビな色彩が重すぎず軽すぎず心の隙間を満たしてくれる。そんな不思議な魅力が彼の持ち味だ。

ジャズの神様は、チェットに二物どころか、トランペットと歌声と容姿という三物を与えたが、大きな転落と漂泊の人生も与えた。そんな彼をイーサン・ホークが演じた前述の映画が「ブルーに生まれついて」(邦題)だ。チェットの持つ一筋縄ではいかない魅力の秘密に、ひょっとしたら触れられるかもしれない。この映画、鹿児島では、2月に上映予定。見逃すべからず! それから、GUYZ諸君よ、「薬物はダメ。ぜったい。」ですね、念のため。

 

 

postmarkPostmark (ポストマーク)

ポストカードの専門店。イベントなどにも出店するが、基本ウェブだけで営業。100%輸入物のポストカード、主にモノクロームの写真作品、ミュージシャンや芸術家、映画俳優、各界の有名人のポートレートや、時代を映し出すスナップ写真、絵画やアート作品などのポストカードを取り扱う。

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