オトナのプチ野宿〜俺たちなりにステンバイミー 

年齢を重ねるうちに失ってしまったものがある。 だけど青春が消えてなくなることはない。 俺たちの心に永遠に生き続けているはずだ。

Photo by.Tomohiro Arikawa&Junichi Ueyama

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俺は慎吾、40歳。雑誌やフリーペーパーの編集の仕事を始めて16年目。今年の4月から、鹿児島市内にある友人の写真事務所に転職して、男性向けのフリーマガジン制作に創刊から携わっている。編集の仕事はもちろん、折り作業や配布までこなす忙しい毎日だが、充実した日々を送っている。とはいえ、連日の残業で疲れがたまってきているのも事実。「どこか静かな場所で気持ちをリフレッシュしたいな」とため息をつくこともしばしばだ。そんな俺の思いを感じ取ってくれたのか、事務所の代表で、一個上の幼なじみ、ツヨポンが「慎吾、なんか疲れてるみたいだから今週末はゆっくり休みな」と声をかけてくれた。「何も予定がなかったら、キャンプに行かない? 森の空気を満喫しようよ」。いい考えだ。たまには森の中でボーッと何もせずに過ごすのもいい。すると同僚でカメラマンの吾郎が「それなら俺たち3人と、マー君とタクヤを加えた5人で昔のように遊びに行こうよ」。俺とツヨポンは思わず顔を見合わせた。

 

 

俺とツヨポン、吾郎、マー君、タクヤの5人は、遊ぶ時は常に一緒につるんだ仲だ。しかしいつの日からか、タクヤの心が俺たちから離れていくのを感じるようになった。理由は分からない。しかし今回のキャンプを通して5人がまた、かつてのような仲間に戻れるかもしれない。俺たち3人は、そんな淡い期待を抱いて、キャンプ当日を迎えた。マー君、タクヤと待ち合わせたのは、霧島市のスーパーの駐車場。マー君とは今でも仕事で付き合いがある仲だが、タクヤとは数年ぶりに会う。トヨタのピックアップトラックに、昔から愛用しているカヌーを載せている。相変わらずワイルドだ。アウトドア好きのマー君もソワソワして出発を待ちきれないようだ。俺たちは当日の昼飯と、夕食の材料を購入して、それぞれの車で一路、宮崎県の御池キャンプ村に向かった。俺は吾郎の車に同乗。全員が40オーバーのおじさんだが、アウトドアに出かける際はいつも心が躍る。無口の吾郎も今日ばかりは車内で饒舌だ。

 

 

1時間ほどで目的地に到着した。霧島山系最大の火口湖である御池湖畔に位置するキャンプ場で、バードウォッチングや散策、釣りなども楽しめる。秋は紅葉の名所としても有名だ。俺たちは眼前に池の全景が見渡せる絶好の位置にかまどを設置することを決めた。ちなみに俺たちが言う「キャンプ」とは、実際にはテントを張らない「野宿」のこと。野宿のベストシーズンは秋から冬にかけて。かまどのたき火で暖をとりながら一晩過ごす。夏は暑さと虫で、とても寝られたものじゃないからだ。

 

 

作業開始の合図は乾杯と決まっている。正午を少し回ったあたり、スーパーで買ってきた弁当をつつきながら、ビールで喉を潤す。「バーベキューはね、カリブ海が発祥でね…」と、毎度マー君のバーベキューうんちくから始まる昼のひとときは心地良い。しかしタクヤだけは、ほほ笑みはするものの、終始気まずそうにうつむいているだけだった。

 

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