オトナのプチ野宿〜俺たちなりにステンバイミー 

かまど作りはタクヤの担当。俺たちが集めてくる直径20〜30㎝の大きな石を、風が通る方向に合わせて手際よくかまど状に組んでいく。石は同じ高さにそろえて、隙間なく配置するのがコツだ。針状の松の葉は火つけに使える。また、平らな石はテーブル代わりにもなる。石を集める際に気をつけなければならないことは、手で持ち上げる前に一度足で転がすこと。裏にムカデなど毒虫がいる場合があるからだ。

 

 

かまど作りと並行して行う作業が、薪集め。マー君とツヨポン、吾郎の3人が森の中から拾ってくる大小さまざまな木の枝を、俺が適当なサイズに折って、かまど近くの3カ所に積み上げていく。細い枝は火つけの際、それよりも少々太い枝は料理の際に使う。大人の手首ほど太い枝は夜間、たき火をする際に欠かせないものだ。この仕分けが意外と重労働だが、かまど作りを終えたタクヤが加勢に来てくれた。二人でこんな作業をするのは何年ぶりだろう。何をしゃべるでもなかったが、何となくうれしそうに枝を折っているタクヤの姿を見て俺は感じた。今回のキャンプが5人にとって特別なイベントになるのではないかということを。

 

 

さっきまでの秋晴れの空から一転、灰色の雲が垂れ込んできて、やがてポツリポツリと降り出してきた。「どうせにわか雨だから」と火をおこして料理の準備を進めるマー君と俺。しかし雨足は次第に本降りへと変わった。集めた薪や荷物が濡れると厄介だ。隣接する常設テントに荷物を避難させようとした時、タクヤが大型のタープを取り出した。あいつはこういう時に頼りになる存在だ。俺たちは全員でかまどが中心になるように急いでタープを張り、お互い苦笑いを交わす。かなりの大雨で、油断するとタープのたわみにあっという間に雨水がたまる。

 

 

俺たちは料理班と雨水班に分かれてそれぞれの仕事を再開した。その時ふとタクヤと目が合った。あいつが少し微笑んだような気がした。彼がこれまでどういう理由で俺たちと距離を取っていたのかは分からない。ひょっとしたら俺たちのことを毛嫌いしているあの嫁さんの影響があるのかもしれない。しかし今回のキャンプで徐々にではあるが、その距離が再び縮まりつつあることを俺は感じていた。自然の中で行う開放的な野宿は、人の凝り固まった心を解きほぐしてくれる効果があるのかも。

 

a1609170261

固定ページ:
1

2

3 4 5

関連記事

PICK UP

COLUMN
2017.8.3

自宅の屋上がアウトドアスペースに!

晃栄住宅が提供する“第二のリビング” 屋上庭園で生活をもっと楽しく! ニーズに合わせてさまざまな使い方ができる、晃栄住宅の屋上庭園。 今回は、日置市…

MOST VIEWED

ページ上部へ戻る