ありがたき、希望の言葉神なる9人のお導き

ガイズは 「ブレーメンの音楽隊」に なってはいなかったか

 

やっぱり、おっさんにフォーカスしているところが面白かった。おっさん心をくすぐりにきて、42歳の自分はど真ん中だった。解散についてはとても残念に思っています。  続かなかった原因は、企画のレイヤーの話じゃないでしょうか。層になっていないというか、なんかすごく平面的だと感じることはありました。“薄っぺらい”ということはないけど、なんか、「ブレーメンの音楽隊」みたいだな、とは思いました。年老いたロバが、ブレーメンの音楽隊に入ろうと考えて、同じような境遇のイヌやネコ、ニワトリとブレーメンを目指すのですが、途中、泥棒の家を奪い取って住み着き、年寄り動物が仲良く幸せに暮らしましたっていう童話。「結局ブレーメンに行かんのかい」みたいな話なんですよ。

 

ガイズはブレーメンの音楽隊だった。結局、おっさんを導かないの!? みたいな。それを、野見山特集の時にすごく感じました。あの号は、うちの店でもすぐ全部はけたんですよ。そしておそらく、あの号は編集部的には、はけ具合や反響の面で成功例として認識されたと思うんですが、「ここがガイズのブレーメンなのか」という感じを受けました。このノスタルジック的なネタを一回経験しちゃうと、しんどくなるなって思いました。結局このパターンやるしかなくなっちゃうじゃん、という感じがして。ノスタルジックなネタって、基本的に単純じゃないですか。だって自分が知っていることが出てきて、記憶が呼び起こされて「うれしい」って反応するだけなので。これを面白いってとらえるのは人間だったら当たり前。特におっさんになりだした僕ら世代にとってはね。これって何の生産性もないんですよ。でもそれを読んだときの瞬間は面白い。数字は確実に取れますよね。だからそっちに行くんやみたいな。「これ面白かったでしょ?」って言われて、確かに面白かったけど、ガイズはこれがやりたかったの? そこで終わるじゃないですか。物語論で言うと、短編小説でいくのであれば余韻を楽しませないといけないし、長編であれば「次どうなるんだろう」と引っ張らないといけないし。物語として終わらせられないじゃないですか。始めることはできても。

 

ガイズは全体的にそうだったのかもしれないですね。“フリ”が弱いまま、面白いことばっかりやってもうてるんですよ。一発ギャグの集合体みたいになっていたってことじゃないですか。物語って、全体のストーリーみたいなものがあって、そこに一発ギャグが入ってくるから、話が進んでいくし、かつその場その場で笑えたりもする。単に一発ギャグを順番にやっていますよ、となっていたんだとしたら、「面白いよね」で終わっちゃう。そこに何か発見があったり、意識や行動が変化するきっかけがあったりしたら良かったんだけどね。ガイズを見て、「面白かったね!」「見た?」「見た見た!」でおしまい、という風になっていたんだとしたら、ちゃんとおっさんたちをブレーメンに連れて行ってあげないといけなかった、ということはあるかもしれませんよね。

 

その時々で「今これおもろい」ってやっているだけやったら、だんだん人は減っていくと思います。その物語を共有したいという、新しい人を増やしていかないと。これはサッカーにも同じことが言えますわ。気をつけないと。一試合の勝敗だけを追っかけていたら、いつまでたってもチームって大きくならないですよ。鹿児島ユナイテッドFCもこの前4連敗しましたけど、それが結果的にフリとして効いてくればいいっていう話ですよね。4連敗しました、その次に勝って、その4連敗分のストレスが一気に解消されたと。そしたらちゃんとオチるじゃないですか。気持ちいいじゃないですか。ガイズもひょっとしたら、目先の勝ち負けにこだわりすぎたのかもしれない。「面白い」という勝ち負けに。シーズン終わってチーム解散して、新しくまたチーム作ろうってなったときに、本当に何も残らないということになったらヤバいですからね。そう考えたら怖いですね、一緒ですよね、サッカーチームもガイズも。

 

メタメッセージとして、ガイズが終わることによって、鹿児島のフリーペーパーの歴史にひとつのピリオドが打てるのかもしれない。鹿児島の地方紙でこのクオリティーを保って男性向け、ってもう多分出てこないですよ。半分だけほめているんですよ(笑)。技術的には全然大丈夫だったけど、戦術がなかった。だから例えて言うと、うまいやつだけで集まったサッカーチームですよね。写真とかデザインとか、そういう一つひとつの細かい技術は全部あるわけじゃないですか。トラップ、パス、シュート、ドリブル全部ある。でも、どうやって勝ちたいかがない。そうなるとサッカーチームとしてはキツいですよね。優勝はないですよ。シーズン中、1〜2回勝って、負けて、「ああ終わったね」っていうシーズンになりますよ。そんな試合で、お客さんに何が届くかですよ。

 

 

ジャブよりも 大振りパンチの方が ワクワクする

 

ガイズは他の媒体と違って、本音が出ているというか。そういう部分では面白みがありました。ただ、自分たちが広告を出しているから感じる部分ではあったかもしれないけれど、号を重ねるにつれてネタが尽きてきたのかなと。そして、掲載される取引先がだいぶ減ってきて、自分たちが何かをしていかなければならない状況に陥ってきているのかなと、途中くらいから感じていました。個人的な感想としては、5号の野宿の特集くらいまでは面白かったんですが、それ以降は「よっこいせ」という感じで、ようやく発行していた感があったというか。あまり余裕が感じられなかったかもしれないですね(笑)。

 

ターゲットが鹿児島の男性ということで、男心というか、少年の心をくすぐるような記事を期待していました。住宅とか車とか載っていて楽しかったんだけど、もっと深く突っ込んで「男のガレージでの楽しみ方」みたいなのがあっても良かった。もっと遊びの部分を出して、その中で失敗したことや楽しかったことが文章や写真に表れていたら、クスッと笑うこともあったと思う。テスト版で、実際に天文館で商売をされている方の本音とかが、ものすごくストレートな感じで書いてあったじゃないですか。普通だったら、広告を出してもらいたい以上は「天文館盛り上がっているよ!」とか、そういう雰囲気のことを載っけても良さそうなんだけど、あえてリアルに突っ込んでいく。そういうのが少しずつ薄れて、とんがった部分が丸くなっていった。それが良い方向に転ぶこともあるんだけど、ガイズは悪い方向に転んでしまったと思う。

 

ボクシングでも、パンチは当たらないけど思いっきり振り回している選手を見ると、なんかワクワクするじゃないですか。手堅く攻めるやつよりも見ていて面白い。大振りでも、打たれながら相手に向かっていく姿の方が見ていて応援したくなる。だけどジャブしか打たないポイント稼ぎの選手を見ていても楽しくないし、12ラウンドまで結局ダウンもなければ何もないみたいな。ガイズはそういう意味では“普通”になってきちゃった感じですかね。それはそれで悪いとは思わないけど、当初は「ほかの媒体とは違う」みたいなところからスタートした訳ですよ。それが気づいてみたら、なんか収まるところに収まってしまったみたいな。実際に作っている側は、そういうつもりはないと思いますよ。でも、やっていくうちに、フリーペーパーってこういうものなんだ、みたいなものが出来上がってきちゃったと思うんですよ。根っこの部分は忘れてはいないんだろうけど、やっぱり丸くなっちゃったみたいな。

 

昨年、ガイズのテスト版を持って最初に商談にきた時と同じようなトークで、最新号を説明されても、リンクしないと思う。制作側にそのつもりはなかったんだろうけど、創刊号と最新号を見比べると、多分題材から違うと思う。創刊当初は「どこまでぶっちゃけてやるんだろう」みたいなワクワク感があったけど、ネタがだんだん新聞みたいになってきたと思います。ミニ四駆特集とか、五右衛門風呂作りとか、趣味系の記事がすごく面白かった。大人なのに、子どもの頃にやっていた遊びを今でもやっているみたいな。それが山登りでもいいだろうし、川遊びでもいいだろうし。缶蹴りとかも、大人がやるとギャップがあるけど、やればやったで面白いと思うんですよ。しかもマジになって(笑)。 大人だからある程度資金力もあるじゃないですか。子どもであれば資金的に難しかったものも、極めることが出来る訳ですよ。ミニ四駆作るにしても、今ならパーツとかたくさん買えますから。そういうことを真剣にやっている人を載っけるとか良かったかもですね。

 

ガイズが続かなかった外的要因があるとすれば、ひとつには、ガイズ発行の趣旨に賛同してくれる嗜好性の強い企業、店舗があったとしても、広告を出すことには抵抗があるところが多かったのではないでしょうか。

 

 

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